義父が100歳なので、お祝いをしに行ったのだが、
もう入院していて、延命治療はせず、自覚的に
食事を摂るのも止めてしまったので、骨と皮だけ
になって、呼びかけると反応するだけになっていた。
とてつもなく爺ちゃん孝行の孫娘がいて、いつも
病院にやってきて、爺ちゃんを可愛がっている。
アイドルみたいに爺ちゃんの写真を貼ったうちわを
作ってきていて、病床で爺ちゃん爺ちゃんと呼びかけ、
眠そうにしていても、無理矢理起こしている。
けれど、あんな優しくて、美人で、気の利く孫娘に、
顔を撫でられながら可愛がってもらえて、世界一
幸せな爺さんだ。
娘や孫の呼びかけには応じて、わずかに反応するが、
娘の夫であるわしの顔まで覚えちゃいまいと思って
いたのに、帰り際にわしの手に何度もハイタッチして
くれるのには驚いた。
家族や親戚まで女だらけなので、義父は男が好き
らしい。
確かに百歳祝いに集まった家族・親戚は女だらけで、
やたら華やかで明るかった。
義母ももう98歳で元気だから、あと2年で百歳の
お祝いをしてやらねばなるまい。
わしの両親は短命でとっくに死んでしまった。
義理の両親は百歳まで生きて、ひ孫までいるのだから、
全く不思議だ。
『おぼっちゃまくん』のファンばかりで、わしも
有名人扱いで、和やかな時間を過ごした。




















